先日、次の記事を目にしました。
“福島県から震災の影響で非難している新潟市立小学4年生の男子児童が、担任と同級生から名前に「菌」と付けて呼ばれたことが問題となっています。
有識者による第三者委員会「市いじめ防止対策等専門委員会」は15日、3回目の会合を開き、避難といじめに「直接的な因果関係はない」と結論をまとめました。
不要校の原因については「担任が菌と付けて読んだこと」としています。”
今回はこのニュースを見た私が、震災といじめの関係について考えたことをご紹介します。
目次
原発の避難先で起きた壮大ないじめが問題になっている
2011年3月11日に発生した東日本大震災。この震災によって東京電力福島第一原発事故が起こりました。
未だ福島に戻れず、避難先で暮らす被害者はたくさんいます。
そして最近、避難先で起きている学校でのいじめが問題になっています。
避難先ではどのようないじめが起きているのか?
福島第一原発事故の被害を受けて、福島県から神奈川県横浜市に避難した13歳の男子生徒が、原発を理由にいじめを受けています。
いじめの内容は、「原発を利湯に悪口を言われた」「暴力を振るわれた」「菌扱いされた」「賠償金を目当てにカツアゲされた」など、信じがたいいじめが発生しています。
カツアゲされた額は「150万円」。その150万円はいじめを受けていた子の両親が、生活費として自宅に保管していたもので。
賠償金ではありませんでした。
(この家族は自主避難で神奈川県に避難していたため、賠償金は支払われなかったそうです。)
避難先で起きたいじめの経緯
彼は、引っ越してきた小学校2年生から6年生までいじめの被害に遭っていました。
在学期間は不登校、再登校を繰り返し、再登校してはいじめを受けの繰り返しだったそう。
卒業まで登校できない状態が長く続いたそうです。
いじめの被害に遭った生徒は長期間に渡るいじめで次のようなメモを残しています。
「なんかいも死のうとおもった」「ばいきんあつかいされていつもつらかった」「しんさいでいっぱい死んだからつらいけどぼくはいきるときめた」
このような決意がつづられています。
「いじめを受けているのは震災が原因」に賛否両論
いじめを受けた生徒は次のようなメモも残しています。
「なんかいもせんせいに言おうとするとむしされてた」
不登校が続いているなら、担任の先生は生徒に何があったのか気にならなかったのでしょうか。クラスメイトは気が付いていなかったのでしょうか。疑問は尽きません・・・
第三者の立場からこのニュースを見ると、いじめの加害者が悪いと考えてしまいがちです。
いじめられた被害者にも原因があるのでは?タイプの意見
しかし、報道に寄せられているコメントの中には、被害者へ違和感を抱いている方もいるのです。
「小学校6年生でひらがなばかりの文章に違和感がある」
「もっと早く相談しなかったのか」
「家にあるお金が無くなっていることに気が付かなかったのか」
「いじめられた原因は震災ではないのでは?」
確かに、子どもたちの人間関係や、いじめられるまでの詳しい経緯、被害者の子どものキャラクターなど、第三者から見たらわかりません。「加害者の子どもが絶対に悪い」と言い切るのは説得力が欠けるかもしれません。
いじめた加害者に原因があるのでは?タイプの意見
「いじめではない、犯罪だ」
「親と学校の責任は重い」
「暴行恐喝」
「子どもだから許される問題ではない」
「学校側の対応も終わっている」
私もいじめた加害者に原因があると考えています。理由は何であれ、いじめは良くありません。ましてや、震災や原発事故を引き合いに出すのは尚更です。
もはやいじめで片づけられる問題ではなく、加害者の子どもがしたことは「犯罪にあたる」と主張する方もいます。未成年でも容赦なく「名前や顔を公表するべきだ」との意見も出ています。
震災いじめ防止に向けて国が注意喚起
いじめ防止対策協議会で「被害日本大震災で被災した児童生徒に対するいじめの未然防止、早期発見に取り組む」として、国の基本方針を見直しました。
長く避難者の支援にあたってきた専門家は「被害者だからと一括りにはせず、いじめのケースごとに丁寧な取り組みを行う必要があると考えています。
確かに、国が注意喚起したところでいじめの件数が減るとは思わない。
まずは現場(学校)の先生の意識から変えていかなければいじめの根本は解決できない。
教育委員会がどれだけ的確な指示を出しても効果が出るかは先生次第です。学校での先生の存在は今も昔も絶大です。
いじめを受けていても平気な顔をして登校している生徒、学校を欠席しがちな生徒など、子どもの様子は様々。
更に、避難者に向けられていじめの問題は震災と原発事故直後から社会全体が心配していた問題です。
いじめは震災いじめに限らず、それぞれのケースごとに背景をしっかりと捉えながら対応する必要があると思います。「被災しているから」「地元に帰れないから」と対応すると被災者を一括りに考えてしまう懸念が考えられるのです。
国が震災いじめ防止に向けて注意喚起している今だからこそ、学校・家庭が一丸となり子どもを守る。これが私の理想の形です。