不登校と引きこもりは同義語として捉えられることがありますが、両者には似て非なるものです。
今回は不登校と引きこもりの違いを明確にし、それぞれの原因や対応を考えてみましょう。
目次
不登校とは?
文部科学省は不登校を次のように定義しています。
何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるため、年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由によるものを除いたもの
不登校はただ学校に行かない状態を表しているのではありません。
病気や怪我、経済的な理由で学校を欠席している場合には不登校と見なされません。また、年間30日未満の欠席についても不登校から除外されます。
文部科学省のデータを鵜呑みにするのは良くありません。
例えば保健室登校出席扱いにする学校もあれば、フリースクールへの登校を学校の出席扱いにする学校もあります。
出席日数をどのようにカウントするかは学校や地域によって異なるので注意しましょう。
引きこもりとは?
厚生労働省は引きこもりを次のように定義しています。
自宅に引きこもって学校や会社に行かず、家族以外との親密な対人関係がない状態が6か月以上続いており、統合失調症(精神分裂病)やうつ病などの精神障害が第一の原因とは考えにくいもの
一般的に引きこもりは、自宅にこもり外出しないこと状態をイメージする方が多いと思われますが、厚生労働省はうつ病など精神疾患を持っているため自宅から出られない方はひきこもりから除外されています。
自宅療養を必要しない、病気を持っていない方で外出しようと思えばできるにも関わらず長期間自宅に引きこもっている方を引きこもりと定義しています。
不登校と引きこもりの原因
子供は、不登校が長引くことで引きこもりになることが多いです。
成人の方であれば会社を辞めて引きこもることもあります。
不登校も引きこもりも根本的な原因は一緒です。
不登校・引きこもりの原因は自己評価の低さ
不登校や引きこもりになるほとんどの方は、ありのままの自分をマイナス評価しています。
自己評価が低い方は、(ご自身の辛口の評価をしていることもありますが)ありのままの自分を愛されている実感がないのです。
では、自己評価が低い方はどのような環境で育ってきたのでしょうか?
抑圧された環境で育つ
自己評価が低い方は抑圧された環境で育つことが多いです。
「本当はやりたくないけど親が言っているから・・・」など、お子様の本人の感情を押し殺す状況が続くと、自己評価が低くなります。
- やりたくない習い事を長いこと続けていた
- 男らしく(女らしく)しなければならないと言われ続けた
など「○○しなければならない」が継続すると、ありのままの自分を否定されているような気持ちになります。
「ありのままの自分では両親に愛されない、嫌われてしまう」と無意識に考えるようになるのです。
期待に応えようと無理をする
親が強制していないことも、兄弟や両親の経歴を見て育つと「自分も頑張らなければ」と無理をする方もいらっしゃいます。
感受性の強い子供は言葉にしなくても両親の期待を感じ取り、思い込みで行動することも。
「今の自分ではダメ。もっと理想の子供にならなければ」と無理をすると、本来の姿を押し殺し、自己評価が低くなることもあります。
不登校・引きこもりへの親御さんの対応
親であるあなたが不登校・引きこもりに対応できることはたくさんあります。
大切なことは、親御さんとお子様が会話できる環境を作ること。不登校で悩む親御さんは、お子様とまともに会話すらできないと悩む方が多いです。
会話できる環境を作る上でお子様に伝えなければならないことをご紹介します。
「子供が嫌だと思うことを言わない」と伝えましょう
お子様は、親御さんと会話する上で「嫌なことを言われる」ことに恐怖心を抱いています。
まずは恐怖心・警戒心をほどくために、お子様が嫌だと思っていることを今後は言わないとしっかりと伝えましょう。
「子供も希望を受け入れ応援する」と伝える
お子様が下す決断が、例え親御さんの期待通りでないとしても、全てを受け入れること、そして応援することを伝えましょう。
子供は、一番身近な方から応援されることでやる気を出すのです。
「ありのままの姿を愛していること」を伝える
これまでのお子様は、親御さんの期待に応えようと無理をしてきたのかもしれません。
しかし、無理をする姿ではなく、ありのままの姿を愛していることを伝えましょう。
言葉にして伝えることで過去のしがらみや緊張感がほどけ、強い思い込みがなくなるかもしれません。
夫婦関係や家庭環境を見直す
子供にとって自宅は安らげる場所でなければなりません。
最近、夫婦喧嘩をしていませんか?親御さんが暗い顔をしていませんか?お子様は部屋の外の状況に敏感です。
親御さんが趣味に励む、外出するなど家族に笑顔が溢れていると、お子様の気持ちを明るくなります。
夫婦の時間を作り、充実した生活を目指してみましょう。
まとめ
不登校が原因で引きこもりを招くことがあります。不登校と引きこもりは厳密には定義が異なりますが原因は同じです。
原因はいずれも自己評価の低さ。
子供の頃に、抑圧された環境で育つ、あるいは期待に応えようと無理をしていると、自己評価がマイナスになり、不登校・引きこもりに陥りやすいと言われています。
不登校・ひきこもりは、親御さんが家庭環境や家族間コミュニケーションを見直すだけで改善されることもあります。
まずはお子様とコミュニケーションが取れる環境を整えること、夫婦関係を見直し明るい家庭を築くことを目標にしてみてください。