平成22年に内閣府が調査した「若者の意識に関する調査(ひきこもりに関する実態調査)」によると、引きこもりは2種類に分類できると考えられています。
一つ目は狭義の引きこもりです。狭義の引きこもりとは、「普段自宅にいるが、近所のコンビニなどには出かける」「自分の部屋からは出るが家の外には一切出ない」「自分の部屋からすらほとんど出ない」に当てはまる方です。狭義の引きこもりは調査の段階では国内に23.6万人と推計されました。
もう一種類の引きこもりは準引きこもりです。準引きこもりとは、「ふだんは家にいるが、自分の趣味に関する用事の時だけ外出する」ような引きこもりです。狭義の引きこもりに比べてアクティブな引きこもりとでも言えるでしょうか。準引きこもりは平成22年の時点で46.0万人と推計されています。
国内には「狭義の引きこもり」と「準引きこもり」を合わせた広義の引きこもりが69.6万人います。これだけの人数の方が引きこもりで苦しんでいると考えると、決して無視することのできない数字です。
あなたも引きこもりのお子様との接し方に悩んでいませんか?引きこもりの原因は元をたどればたった2種類しかありません。今回は、引きこもりの2つの要因と引きこもりとの向き合い方についてご紹介します。
目次
引きこもりの原因① 本人の元々の性格
引きこもりの原因一つ目は、本人の持つ性格です。では、引きこもりやすい性格とは一体どのような性格なのでしょうか?それは、「大人しい」「言うことを素直に聞く」「優しい子」です。
しかし、引きこもる子は昔からそのような性格ではなかったと思います。昔は「甘えたがり」「寂しがり屋」「親にまとわりつく」など手のかかる子であったと思います。
なぜ引きこもりの原因になるのか?
なぜ、このような性格が引きこもりの原因になるのでしょうか?それは、本人が生まれつき不安を抱きやすい性格であるためです。不安を抱きやすいため寂しがりやすい性格になり、親に依存することで必死に愛情を求めます。依存することで不安をかき消そうとするのです。
そして、引きこもりの方は普通の性格に比べて、人から嫌われることに何倍も不安を感じやすい性格を持っています。そのため、ご両親の前では必死にいい子でいようとして、いつの間にか自分の感情を押し殺して「大人しくて言うことを素直に聞く優しい子」になります。
周りの顔色ばかり窺っているため、外では本来の自分を出せなくなる。そんな自分に疲れてしまい、引きこもりになってしまうのです。
引きこもりの原因② 子育ての方針
引きこもりの原因2つ目は家庭環境です。家庭環境というよりは子育ての影響ということもできましょうか。子育てから原因を見つけることは意外と難しいのです。なぜならあなたは精一杯の愛情を注いで子育てしてきたはずだから。愛情がないとこのサイトへも訪れないことでしょう。そのため、あなた自身を責める必要はありませんよ。まずは、次の項目にご両親であるあなた自身が当てはまるか確認してみてください。
- 地位や職業において立派な人
- 指導者として活躍している人
- 世間的に成功者と言われている人
- 何事も無難にこなしてきた人
この4つに当てはまる方は、どのようにして引きこもりの原因を招いたのか確認してみましょう。
なぜ引きこもりの原因になるのか?
先ほどご紹介した4項目のいずれかに当てはまる方は、「お子様にもご自身と同じように成長してほしい」という願いが強いと思います。そのため、「お子様の性格や個性を伸ばすこと」よりも、「自分と同じことをしてほしい」、「理想的な人間になってほしい」という想いが先行してしまうこともあります。そのような想いを抱きながら子育てをしていると、自分の思い通りにいかないと叱るなど子育てを型に当てはめる行うことが多くなります。
型に当てはめる子育てを続けているとどうなるか。お子様は自分の気持ちを優先するよりもご両親と同じかどうかを優先して考えます。そうなると、外では自分の気持ちや考えが表現できなくなり自信を失っていきます。それが最終的に引きこもりの原因となるのです。
引きこもりとの向き合い方
引きこもりは決してお子様の性格に問題があるわけではありません。幼少期の過ごし方、ご両親の教育方針によって自信を失ってしまい、最終的に引きこもりの原因となるのです。お子様の引きこもりを誰よりも近くで解決できるのは他でもなくご両親です。今章では、引きこもりとの向き合い方について考えてみます。
引きこもりのタイプを見極める
まずは本人の引きこもりのタイプを見極めましょう。引きこもりにも様々なタイプが挙げられます。
- 自分の部屋から滅多に出ない
- 部屋からは出れるが自宅からは出ない
- 学校や会社には行かないが、趣味のためには外出する
タイプによって解決方法も異なってきます。自分の部屋から滅多に出ない方は「親VS本人タイプ」。ご両親にも心を許していない状況です。部屋から出れるが外には出ない方は「他人VS本人タイプ」。世間に対いて不満・不安を抱いています。学校や会社には行けないが、趣味のためには外出する方は「世間VS本人タイプ」。競争や批判に弱いタイプと言えます。
本人のそれぞれのタイプを把握したら続いてのステップに進みます。
本人の希望を聞き入れる
続いては本人の希望を聞き入れることです。引きこもりは本人とご両親の闘いではありません。ご両親と本人が協力することで初めて解決への一歩を踏み出すことができます。そのためには本人の希望を聞き入れることが重要です。本人の気持ちを尊重することで共通の目標ができるのです。
「誰が悪い」など犯人捜しをしていては引きこもりはいつまでも解決できません。
まとめ
引きこもりの原因はご本人の性格もあります。しかし、その性格を形成するのは幼少期の子育てです。引きこもりの原因を子育てに見出すのは受け入れがたい現実かもしれません。しかし、ご両親が引きこもりの原因と向き合うことでしか解決する方法はありません。
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