不登校や引きこもりに悩むお子様が自宅に引きこもると心身の不調を訴えます。
更に、ゲームに没頭する、スマホ依存、暴力をふるう、ものを破壊する、昼夜逆転生活、飲酒やたばこに手を出すなど、別人のようなお子様の姿に動揺を隠せない方も多いでしょう。
親御さんなら、今までのような優しくて思いやりのあるお子様に会いたいと願っているはずです。
今回は、不登校のお子様が心身症と診断された際の注意点や対応をご紹介します。
目次
心身症とは「心」のストレスが「身体」に出る病気
古くから「病は気から」との言い伝えがあるように、心と身体は深く結びつき、互いに影響し合っています。
不登校の中でも、心のストレスが身体の症状となり表れる「心身症」。
次章からは、不登校に関連付けながら「心のストレスがなぜ身体の症状となり現れるのか」をご紹介します。
自律神経が乱れると生活に支障が生じる
内科にかかる30~40%の患者さんは精神的なストレスが原因で身体に症状が現れると言われています。
中でも自律神経失調症の患者さんが多く、若年化も進んでいるのが特徴です。そのため、中学生・高校生で自律神経失調症にかかる方も多く、不登校の要因の一つとしても考えらえています。
実は、ストレスで身体に影響が現れると「心身症なのでは?」と考える方もいらっしゃいます。
そこで、自律神経失調症と心身症の違いをご説明します。
心身症と自律神経失調症の違い
心身症は、特定の器官に症状が集中します。例えば、胃潰瘍、十二腸潰瘍のように、胃や腸などの臓器に病変が起きます。
頻繁に起きる頭痛や肩こりなどのような、数値では図れないけれど明らかに身体の機能に異常が起こっている状態も心身症です。
自律神経失調症は、多数の器官に症状が現れます。全身症状を伴う状態です。
しかし、心身症のように明らかな身体疾患はありません。症状は消えたり現れたりを繰り返します。
心身症と自律神経失調症が生活や体質に及ぼす影響
心身症は心因がないため、生活習慣の乱れなどが原因で症状が現れている場合は心身症ではありません。
また、ストレスがあっても身体症状の経過と無関係であれば心身症の可能性は低いです。
自律神経失調症は心因があり、生活習慣の乱れも原因になっています。
自律神経失調症から心身症へ移行するケース
長期的なストレスや身体の不調は身体にダメージを与え、何らかの病気を発症する可能性があります。
例えば、自律神経失調症で胃部に不快感が続いていたとします。
胃部の不快感は胃酸過多などの不健康な状態になっています。胃酸が過剰に出ていると、そのうち潰瘍を引き起こし、胃潰瘍になります。
胃潰瘍は身体疾患で、心身症によるものです。
自律神経失調症を早めに治療しておかなければ重大な病気を引き起こすことがあります。注意しましょう。
心身症による不登校の子供の特徴
心身症を患う子供の特徴をご紹介します。
言いたいことが言えない
心身症で不登校の子供は優しい心の持ち主であること多いです。
友達と会話したり、悩んでいるときはどうしても相手のペースに合わせがちであるため、「誘われたら断れない」「質問したいことがあるけど、相手が忙しそう」など、常に相手中心に物事を考えます。
また、心身症を患う子が口にしにくいことは「不満」や「悪口」、「拒否」です。
また、「不安」や「悩み」も相手に心配を掛けたくないと考え口にすることができません。
しかし、我慢が続くと身体の方が悲鳴を上げてしまい、腹痛や頭痛に代表される心身症として現れます。
最近では、過敏性腸症候群や過敏性大腸などの症状が多いです。
本来の自分らしさが分からない
心身症の子供は、その子らしさが分かっていません。
周囲からの印象とご自身が考えている印象が異なるため、自分には合わないテンポやペースで動くだけで失敗することがあります。
「ご自身から見た自分の姿」と「周りから見た自分の姿」のギャップが大きすぎる場合、心と身体のバランスを崩しやすくなります。
そのバランスの崩れが心身症として出るようになり、不登校になります。
心身症による不登校の子供への対応
心理療法センターなどのカウンセリングでは子供との「会話」を重視します。
子供のペースで会話を進めることで言いにくいことも言えるようになり、心が軽くなります。
会話のポイントとしては、子供が発した言葉をオウム返しすることです。親御さんは相槌やオウム返し中心で、次に出てくる子供の言葉を待ちましょう。
心身症タイプの子供は気遣いのベテラン。相手が気にしそうなことに緊張感を持っているため、ネガティブな発言を口に出すことができないのです。
根気良く付き合ううちに「勉強が分からないから学校に行きづらい」「友達に気を遣ってしんどい」などのマイナス感情が出てきます。子供の口からマイナス感情が出てきたら大成功です。
マイナス感情を口にするだけでも強い緊張感を味わうため、緊張感は避けるよりも慣れる方が重要なのです。
マイナス感情を言葉にするだけでも、不登校の子が再登校するケースは珍しくありません。
子供の持ち味を伸ばすことで再登校に繋がる
話を聞くだけでは子供の自覚を促すことはできません。
例えば、親御さんがお子様に「今日は何してた?」と聞いたとします。お子様は「うーん、今日はちょっと勉強して・・・図書館に行って・・・」と緊張の面持ちで話し始めるかもしれません。
そんなときは、「じっくり考えてから話すのが○○の持ち味だからね。」と本人の持ち味を促すように伝えてあげましょう。
回を重ねるごとに、本人の口数が増え、リラックスした状態で会話ができるようになります。
口数が増えると、再登校の可能性も高くなります
まとめ
ここまで不登校と心身症の関係についてお話ししました。
まずは病院にかかる前に、お子様の状態を学校あるいは相談所に話してみましょう。
ご自身だけで判断なさらず、第三者の意見も積極的に取り入れることをおすすめします。