高校生の不登校者数は中学生ほど多くないにしても、5万人以上います。全国の高校生の65人に1人が不登校なので、1学年に2~3人が不登校であるという計算になります。高校生の不登校者数は年々微減していますが、その人数の多さは見逃すことができません。今回は高校生の不登校の原因と対策についてご紹介します。
目次
<高校生多い不登校の原因>
高校生の不登校の原因で最も多いのが学校やクラスの雰囲気に馴染めないことです。小学校、中学校は私立に進学しない限り、地区で近い学校を選ぶ方が多いと思います。そのため、中学校に進学したとしても小学校6年間を共にした友人が周りに多くいます。環境自体そこまで変わらないと言っていいでしょう。また、受験で入学した学校でないため学力の差もバラバラです。
しかし、高校進学は中学生の時とは大きく変わります。このタイミングで初めて受験をする方も多く、自分で進路を決めるという経験をします。その選択には不安と期待が入り混じった複雑な心情でしょう。第一志望校に入学できた方もそうでない方も不登校に陥ってしまうことはあります。
高校生の不登校の原因①雰囲気に馴染めない
高校は、試験に合格した方だけが入学できるため、ある程度学力や雰囲気の近い学生が集まります。また高校教師も校風に重きを置いて指導する方も多いため、高校の雰囲気は自然に画一化されていき、学校ごとにも雰囲気の差が出てきます。中学までの学力の差がバラバラで、学校側が生徒に合わせて指導を行う環境と比較すると、「自分が学校に馴染まなければならない」というプレッシャーを抱きがちです。そのため学校の雰囲気に馴染めないと、自分を責めて不登校になって高校生が多いのです。
高校生の不登校の原因②理想とギャップの差
これは第一志望の高校に入学した学生に多い不登校の原因で、特に偏差値の高い高校に入学した学生に該当します。中学までは周囲から称賛されていた勉強が、突然つまらなくなったり、自信をなくしたりするパターンです。偏差値の高い高校であればあるほど、周囲の学生のレベルも上がります。目立っていた自分が周囲に埋もれることで存在価値、アイデンティティを失ったように感じ、何に対しても無気力になります。一度学校を休み始めると学校には行きにくくなり、時間が経てば経つほど勉強も遅れをとってしまいます。ちょっとした落ち込みから不登校は始まってしまうのです。
<高校生の不登校への対策は?>
高校生の不登校の原因や心情をなんとなくお分かりいただけたでしょうか?ではそれを踏まえて高校生の不登校にはどのように対策すればいいのでしょうか?以下に対策をいくつかご紹介します。
休ませる
まずはゆっくり休ませてあげてください。不登校で学校に行っていないからと言って高校生であれば責任感や罪悪感は抱きます。そんなときは親御さんから「ゆっくり休んでいいよ」と声を掛けるだけで負担が軽くなります。不登校の原因を追究することよりもまずはお子様が不登校の原因を話せる精神状況にすることを優先してください。
不登校の原因を聴き、理解する
お子様が落ち着き始めたら、不登校や学校について話してくれるよう促してみましょう。最初は話しにくそうな様子を見せると思いますが、それは親御さんの反応を心配しているからです。「何か言われるかもしれない」「悲しませてしまうかもしれない」などお子様は必要以上に悩んでいます。その場合、親御さんは全てを受け入れる覚悟で話を聞いてください。何を言われてもお子様の意見を尊重しましょう。
罪悪感から解放させる
お子様の話を聴いたら今度は不登校の罪悪感から解放してあげましょう。ずっと家にいると寝たきりやゲームをしてばかりと不規則な生活が目立つと思います。そんなとき親御さんが厳しいことを言ってもお子様は物事をプラスに考えることはできません。「学校に行っても行かなくてもいいよ」「できないこともたくさんあるよね」など、お子様の行動を悪いことと捉えさせないようにしましょう。
興味のあることを探す
しかし、甘やかすだけでいいのかといったらそうではありません。これからのことを考えさせるきっかけ作りも大切です。好きなこと、得意なことを思い出して、学校の外でもできるようなことを提案してみてください。まずは家の中で調べたり、見たり、聞いたりして興味のきっかけを探してみましょう。
行動に移すように促す
興味・関心の種を見つけ、お子様の元気が戻ってきたら、実際に行動に移すように促してみてください。その際、高校のことをどうするのかを一緒に考えましょう。もう一度頑張ってみるのもいいですし、辞めたいといったら無理に引き留める必要はありません。高校中退したとしても通信制高校に入学したり、高校卒業認定試験を受けて大学進学する方も多いです。いずれにせよ、様々な選択肢を提示して、お子様に選んでもらうことが大切です。それが親御さんの一番の役割でしょう。高校生でも自分で決めたことには責任を持ちます。ご家族で話し合い、納得のいく選択ができることを願っています。