子供の成長のスピードには個人差があります。
あなたはこれまで、お子様が他の子より苦手なことがあったとしても「のんびりな性格だから」「呑み込みが少し遅いだけ」など、楽観的に捉えてはいませんでしたか?
お子様の成長スピードをいつまでも甘く見ていると、お子様に無理をさせてしまい引きこもりやうつ病を招く恐れがあります。
不登校の原因になりうる発達障害は、親御さんが気づくこと、そして正しい対応をとることが重要です。
今回は子供の発達障害について解説します。
目次
発達障害とは?
発達障害には、「広汎性発達障害(PDD)」と「学習障害」「注意欠陥多動性障害」の3種類があります。
発達障害① 広汎性発達障害(PDD)
広汎性発達障害(Private Developmental Disorders)とは一般的に、コミュニケーションと社会性に障害があり自閉症やアスペルガー症候群、レット障害、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害を含む総称です。
症状としては、
- 家族以外の人とうまくコミュニケーションを取れない(社会性・対人関係の障害)
- 言語の発達の遅れ
- 行動や興味に偏りが生じる
が、代表的です。それぞれの症状を詳しく解説します。
社会性・対人関係の障害
社会性・対人関係の障害には「孤立型」「受動型」「積極・奇異型」「尊大型」の4つに分類できます。
障害タイプ | 特徴 |
---|---|
孤立型 | ・視線を合わせない ・人に関心がない ・呼ばれても反応しない |
受動型 | ・言われたことになんでも従う ・嫌なことも受け入れる ・パニックを起こし固まってしまう |
積極・奇異型 | ・一方的に話し続ける ・同じことを繰り返す |
尊大型 | ・人を見下したような言い方をする ・横柄な態度をとる |
言語の発達の遅れ
コミュニケーションや言葉の発達の遅れには次の特徴が挙げられます。
- 言葉の発達が遅い
- 会話が苦手
- 冗談や皮肉が通じない
- 抽象的な言葉の意味や文脈の理解が困難
言語能力に遅れが生じている場合は図式や絵で説明するなど丁寧に説明しないと文章の意味が伝わらないこともあります。
また、自分が使っている言葉も意味を理解しておらず、相手を傷つける発言をしてしまうこともあります。
行動と興味の偏り
広汎性発達障害の方は、特定の者に対して強いこだわりや興味を見せることもあります。
具体的には、
- 予定の変更や未知の分野、場所に苦痛を感じる
- 偏食
- 自由行動などが苦手
- 場所が変わると普段できていることができなくなる
などが挙げられます。
広汎性発達障害の方は、こだわりが人よりも強いため、自分の想い通りに行かないと対応できない、パニックを引き起こす場合があります。
発達障害② 学習障害(LD)
学習障害(Learning Disability)とは、知的発達に遅れはないありませんが「聞く」「話す」「書く」「計算・推論」の能力のうちいずれかまたは複数のものの習得すること、あるいは使用に苦労する発達障害です。
学習障害は教育方法や本人の努力不足ではなく、先天性の障害と言われています。
生まれつきの脳機能の偏りが、成長・発達過程のどこかで学習障害の症状となり表れることが主流と言われています。
学習障害は学習を開始してから目立った症状が現れるようになります。
注意欠陥多動性障害(ADHD)
注意欠陥多動性障害(Attention Deficit Hyperactivity Disorder)は人の行動をコントロールする神経系に機能異常がある障害です。
注意欠陥多動性障害の原因は解明されていませんが、遺伝子による特有の脳機能の偏りが症状を引き起こすと言われています。
特に有力と言われているのは前頭葉の機能異常です。
物事を整理整頓する役割を果たす前頭葉ですが、この部分に偏りや異常が発生すると前頭葉が上手く働かなくなります。
前頭葉が働きが弱くなると「多動」「不注意」「衝動」の3つの行動特性が現れます。
注意欠陥多動性障害の方は施行よりも語幹からの刺激を敏感に感じ取り、感覚に頼りがちになります。
そのため、論理的に考えたり集中するのが苦手とされるのも注意欠陥多動性障害の特徴です。
発達障害の改善方法
広汎性発達障害の改善方法
広汎性発達障害は、専門機関・医療機関で診断してもらいましょう。
医療機関での診断は、発達障害の専門外来のある小児科、脳神経小児科、児童精神科で行われています。
子供の場合は病院以外に、保健センター、子育て支援センター、児童発達支援事業所、発達障害者支援センターなどでも検査・相談も可能です。
自宅付近に相談機関がない場合は電話でも相談に乗ってくれることもあるので、まずは調べてみることをおすすめします。
学習障害の改善方法
学習障害は、どの分野に偏りが生じているのかを判断することで対処することができます。
「聞く」「話す」「書く」「計算・推論」など、学習障害にも個性が生じています。
それぞれどの分野に障害が生じているのかを把握し、特定の専門機関・医療機関での検査と診断で発見することができます。
また、治療は子供の個性にあった対応を取ります。個性にあう対応法は子供がやる気や達成感を感じるための大切な入口です。
対応法を個性に合わせることで、学力やソーシャルトレーニングなど本人の能力を高めることもできます。
注意欠陥多動性障害の改善方法
注意欠陥多動性障害の特徴を和らげるために、まずは本人の周りの環境を整える、その場に適したソーシャルトレーニングを学ぶ、ご両親自身が子供にあった具体的なトレーニングを学ぶなどが挙げられます。
環境調整
教育現場の環境を整えることを指します。
例えば、集中力が続かない子には机の周りに無駄なものを置かないようにするなど教室や部屋の環境を調整します。
ソーシャルトレーニング
自宅以外の場所で適切に行動できるよう、ロールプレイングを行いトレーニングします。紙芝居や絵本、ゲームを用いてシミュレーションを行うこともあります。
ペアレントトレーニング
保護者自らが子供に対して療育的な訓練を行うよう、保護者向けにトレーニングを行うことを指します。
発達障害の専門機関や病院、公立・民間の児童発達支援センターなどでトレーニングを受けることができます。
ペアレントトレーニングを行うことで、保護者自らが子どもの良い部分を磨き上げることができます。
まとめ
発達障害は、本人に非があるわけではありません。
しかし、発達障害への理解が乏しい方は「気持ちの問題」と厳しい言葉をかけることも。
そんなとき、子供の一番の味方となるのは保護者であるあなたです。
子供が不登校となった場合は、発達障害の可能性を疑ってみましょう。
発達障害は成長と共にあるいは適切な処置によって症状を軽減させることができます。
まずは専門機関・医療機関を調べ、相談してみることをおすすめします。