高校生の子どもが不登校になったとき心療内科には行くべきか?


心療内科ってどんなところ?

心療内科とは、摂食障害や転換性障害、解離性障害、心身症などの負担が身体に影響している方対象の診療科です。

心と身体は相互に影響し合っているため、身体的な治療だけでなく心のケアも行います

学校や家庭など様々な要因からアプローチを行っていくため、ご家族や学校の先生との連携が欠かせません。

心療内科で取り扱う症状

身体の症状はあるけれど、診察や検査では身体的な原因が特定できない方を対象とした診療科が心療内科です。

症状が長期間継続し、身体的な治療を行っても回復が見られない場合は心療内科で診てもらいましょう

今章では心療内科で取り扱っている症状や治療についてご紹介します。

心身症

心身症とは心の負担が自律神経の調子を見出し、身体に影響を及ぼす症状です。

心療内科で扱うほどんどの症状は心身症です。

主な心身症は次の5つです。

病名 症状
過敏性腸症候群 便秘、下痢を伴う腹痛
慢性胃炎 吐き気、嘔吐、食欲不振、腹痛
起立性調節障害 頭痛、めまい、立ちくらみ、倦怠感
過換気症候群 呼吸が早くなり息苦しくなる、手のしびれ
心因性頻尿 膀胱炎でないのに何度も尿意を感じる
心身症の治療方法

心と身体は自律神経を通じて影響し合っています。

診察の他に自律神経を調整する薬や身体をリラックスさせるカウンセリングを行います。

今後の生活について心療内科医が一緒に考えてくれます。

身体症状のある不登校

心身症が不登校と同時に発生している場合、集団生活に対する不安、緊張が自立神経や運動神経、知覚神経に影響している可能性が高いです。

身体症状のある不登校の治療方法

身体症状と不登校が同時に表れている場合は、自律神経を調整する薬や生活習慣の工夫、心の疲れや心理発達の引っ掛かりを考えます。

転換性障害、解離性障害

転換性障害、解離性障害とは、ストレスが対応能力を大きく上回った場合、無意識に運動神経や知覚神経に影響する症状です。

転換性障害と解離性障害では症状が異なります。

病名 症状
転換性障害 手足が動かない、感覚がない、持続する原因不明の痛み
解離性障害 意識を失う、意識が朦朧とする、記憶がなくなる
転換性障害、解離性障害の治療方法

本人が「病気である」という認識を持つことが重要。家族や周囲の人の理解を得て、安心・安全な環境を整えることから始めましょう。

転換性障害、解離性障害のきっかけとなった出来事や過去のエピソードを思い出すと、本人も理解しやすいです。

現時点では解離性障害に有効な薬はありませんが、同時に発症しやすいうつ病に対しては抗うつ薬や抗不安薬、抗精神病薬が有効です。

摂食障害

摂食障害は遺伝や家族・友人関係、社会情勢などの様々な要因が混在して発症します。

食生活に目を向けてしまいがちな摂食障害ですが、食生活の乱れは心理的発達障害、主体性の確立、人間関係などの問題から生じるものです。

まずは根本的な問題に目を向けることから始める必要があります。子供や家族が抱えている問題に気付くためのカウンセリングや薬物治療を行います。

摂食障害の治療方法

代表的な摂食障害の治療方法はカウンセリングです。

摂食障害は心の病気です。過度な痩せたい願望、ストレスが引き金となり発症することが多いです。

まずは、自分がストレスを感じやすい状況に立ってないかなど、自分の状況を理解することが重要です。

そこから摂食障害を引き起こしている心理的な理由を掘り下げていきます。それが摂食障害のカウンセリングです。

カウンセリング以外では、薬物治療などで症状を緩和させることができます。

心療内科にかかる際に注意すること

学校から心療内科や精神科への診療を勧められることもあります

その場合、何点かポイントがあるのでご紹介します。

子供に安心させる

まずは本人を安心させることが重要です。

心療内科とは言え、病気であることに変わりはありません。

自分が病気だと自覚することは大切ですが、不安な思いにさせては逆効果です。本人の自信を奪ってしまいかねません。

病院に対して不安を抱いているようであれば、配慮が必要です。

「あくまでも便宜的なもの」「深刻な病気ではなく、感知できること」を伝えましょう。

気になる行動をメモしておく

お子様の気になる行動や学校での問題行動をメモしておきましょう

何時から問題行動が起き始めたのか、あらかじめリストアップしておくと医師も対応しやすいでしょう。

しかし、認識していただきたいことが一点あります。

医師に診てもらったからと言って、不登校や引きこもりの原因について診断したり解決することはできません。

あくまでも現在のお子様の心身症状について診断することしかできないのです。

必要であれば心療内科医から担任の先生へ直接説明してもらう

不登校期間中でも学校とのやり取りを欠かすことはできません。

その際に親御さんが頭を抱えることは「学校の先生にどこまで介入してもらえばいいのか」です。

お子様は不登校で学校から離れている分、学校の話題を拒否する傾向があります。そのときはなるべく先生の接触も避けるべきです。

しかし、先生も様子が気になるので電話をしたり、自宅へ訪問しようとするかも知れません。

その場合、主治医から学校へ直接連絡してもらうと学校側も安心できるでしょう。

学校からの連絡をしばらく遮断することでお子様も安心して過ごせるはずです。

学校との連携は大切ですが、「関わりが途切れてはいけない」とプレッシャーを感じる必要はありません。

まとめ

お子様の症状が改善しないからと言って急いで病院に駆け込む必要はありません。

心療内科はお子様の症状を把握し、治療に向けてアドバイスをしてくれることはありますが、根本的な原因を必ず見つけてくれるとは限りません。

もちろん一緒に原因を見つけるお手伝いはしますが、原因を見つけるためには本人の自覚とご家族の病気への理解が必要です。

様子が変だと思ったらこまめにメモをとりましょう。

環境が大きく変わったエピソードを思い出すなど、原因を追究しようとする周囲の協力が何よりも大切です。

心療内科はあくまでもサポートの1つです。ご家族でお子様を支えようという気持ちは忘れないようにしてください。